第69次 米沢地区国民教育研究集会 基調提案

2019年 8月17日

  進めよう! 希望をはぐくみ、人間を大切にする地域・学校づくりを

  おはようございます。今年も国民教育研究集会を開催します。
東日本大震災・福島原発事故から8年がたつのに、未だ5万人を超える被災者が避難を続けています。沖縄では、県民投票で明確に示された民意を無視して基地建設を強行し、まさに弾圧ともいうべき様相を呈しています。
  また、「働き方改革」と称して、過労死ラインをはるかに超える月100時間までの残業が合法化されました。「働く貧困層」といわれるワーキングプアは12年連続で1000万人を超え、貯蓄のない世帯も3割に達しています。保護者の生活も、子どもたちが安心して暮らせるはずの家庭も破壊されようとしています。教員の1日の勤務時間を9~10時間に延ばし、夏休みに学校を閉庁してつじつまを合わせる「働き方改革」が導入されれば、私たちの家庭も破壊されます。
  1950年の朝鮮戦争の勃発をうけ、教職員組合は「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンを掲げて平和と民主主義の教育実践運動を強化し、翌1951年には第1回の教研集会を開催しました。その韓国との関係が悪化しています。お互いの政府とマスコミの扇動もあって、先が見えない状況が続いています。
  日本の植民地支配について、これまで政府は首相談話のような形で一定の反省の意を示してきました。しかし、植民地支配そのものは一貫して侵略でなく合法であったとしており、また慰安婦や徴用などの人権侵害に対して、国家として反省や謝罪を行ったことは一度もありません。このような政府の姿勢がアジア諸国の不信の根本にあることを、私たち国民も深刻にとらえる必要があります。
  原爆の日、広島・長崎の両市長は、ヒバクシャの目線で核兵器廃絶を訴え、核兵器禁止条約の批准を政府に求めました。子ども代表は、真剣な思いのこもった訴えを世界に送りました。それと比して、安倍首相のなんとそっけない挨拶であったことか。記者会見でも、核兵器禁止条約への参加はさらさら考えていないとの態度を貫きました。
  終戦の日の戦没者追悼式では、天皇さえ毎年「過去を顧み」「深い反省」という言葉を述べるのに、歴代首相が必ず盛り込んできたアジア諸国への加害責任について、安倍首相は今年も絶対に言わない姿勢を貫きました。
  平和は、軍事の問題だけではありません。かつて米沢教組の青年部は、学校ぐるみで平和教育に取り組みましたが、その基礎として位置づけられた「平和の素地づくり」が思い起こされます。太田直子先生は、発達段階に応じて「命を大切にする力」「自分の意見を言う力」「思いやりの力」「集団としての力」を持つ子どもを育てることが「平和の素地」になる、と青年部の平和学習会で報告しています。
  この報告は30年前ですが、このような視点が今の社会全体にも必要だと思います。「戦後世代には、未来への責任がある」とは、ドイツのヴァイツゼッカー元大統領の言葉です。今まさにこの言葉が私たちに向けられています。
  平和教育、教科実践、集団づくりなど、私たちには教研集会での長い実践の蓄積があります。それは、主権者を育てる教育を自覚してきた私たちの誇りでした。これまでの歩みに確信を持ち、きょう一日、そしてこれからも頑張っていきましょう。




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